寒い季節ですが皆さまお元気にお過ごしでしょうか。
今、インフルエンザやコロナが大変流行していますね。
休日の当番病院は順番待ちの人であふれていると聞きます。
人間もこの季節風邪を引きますが、
猫ちゃんにも風邪のような症状が出ることがあり、
「猫風邪」と呼ばれています。
季節の変わり目や冬に起きることが多く、まさに今が流行期です。
これはどのような病気なのでしょう?
知っておきたいですね。勉強してゆきましょう。

「猫風邪」の正体は?

「うちの子、寒くなると風邪を引きやすいんです…」と、
猫ちゃんの飼い主さんから時々ご相談をいただきます。
猫ちゃんが人間のようにマスクをして、
お布団で丸くなっている姿を想像すると可愛いですが、
人間の風邪と「猫風邪」と呼ばれる病気は
原因となるウイルスからして異なるものです。
人間の場合、風邪は上気道にウイルスや細菌が感染することで起こります。
そのうち約90%はウイルスによる感染です。
ウイルスはコロナウイルス、アデノウイルスなど種類も色々です。
残り10%が細菌やマイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外の感染です。
猫風邪もほとんどウイルスによる感染が原因なのですが、
猫ちゃんの場合多くは
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスというウイルスの感染で起こります。
正式な名称は「猫上部気道感染症」といいます。
主な感染経路は、口、鼻、結膜です。
猫同士で感染している子からうつることが多いですが、
直接に接触しなくても鼻水やくしゃみで飛び散ったエアロゾルを介して
空気感染する場合もあります。
症状は人の風邪とそっくり!

以下のような症状が猫風邪の代表的なものです。
- くしゃみ
- 鼻水
- 目やに
- 元気の低下
- 食欲不振
- 発熱
- よだれ
- 目の充血
症状は人間の風邪とそっくりですね…。
では、猫風邪の原因となる主なウイルスを見てみましょう。
①猫ヘルペスウイルス(Ⅰ型)
猫ヘルペスウイルスは、猫の目、鼻、口から容易に感染するウイルスです。
体内に侵入すると、爆発的に増殖し、粘膜表面に炎症が起こります。
結膜炎や鼻炎、気管支炎などのほか、呼吸器系に影響を引き起こします。
一度感染してしまうと、生涯を通じてウイルスが体内に潜伏しやすく、
症状が治ったように見えても、ストレスを受けたり体力が低下するとまた症状が出てきてしまうことがある、やっかいなウイルスです。
他の猫から感染することが多いので、野良猫ちゃんと接触したり、保護猫ちゃんを迎え入れたり、
多頭飼育をしていたり、お外と行き来が可能な環境だったりする場合は特に注意が必要です。
また室内飼いの場合でも、人間が感染した猫ちゃんと接触し、お洋服や靴にウイルスを付着させて家に帰ってくるとウイルスが媒介されて感染することがあります。
飼い主さんはご注意ください。
②猫カリシウイルス
猫カリシウイルスも感染経路については猫ヘルペスウイルスとほぼ同じですが、
症状として「口内炎」や「肺炎」「関節炎」も引き起こされることがあります。
またやっかいなのが、カリシウイルスは一度感染した子は長い間ウイルスを排出し続けるという特性を持っていることです。
これは症状のある子に限りません。
おかげで感染してしまうと、ワクチンを受けていない、免疫のない子と安易に一緒にすることはできなくなります。
猫風邪で病院に行くと基本的に症状に対しての対症療法が行われます。
目やに、鼻水、くしゃみなどには点眼薬や点鼻薬が処方されます。
食欲のない子や脱水症状を起こしている子には輸液や栄養の処方が行われたり、
ウイルスに対して抗菌薬、抗ウイルス薬の投与が行われることもあります。
2~3週間で症状が快復することがほとんどですが、
子猫や免疫力が落ちている子では生命に関わることもあります。
また、一度回復しても症状を繰り返す場合もあります。
ただの風邪と侮ってはいけないのが「猫風邪」です。
子猫のうちにワクチンを

猫ちゃんのワクチンでメジャーなものが「3種混合ワクチン」と「5種混合ワクチン」です。
ペットショップやブリーダーさんでは子猫に接種を済ませてからの譲渡が一般的ですし、
今はペットホテルなどでも利用にあたってワクチン接種証明が必要とされることも多いので、
接種済みの猫ちゃんが多いかと思います。
☆3種混合ワクチンで予防できる病気
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫汎白血球減少症
☆5種混合ワクチンで予防できる病気
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫汎白血球減少症
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫クラミジア感染症
3種混合ワクチン、5種混合ワクチンのいずれを受けても、
猫ヘルペスウイルスⅠ型、猫カリシウイルスに対する備えが含まれています。
猫ちゃんのワクチンは子猫のもの、というイメージがありますが、
子猫のうちに接種していても免疫を保つためにその後も年1回の接種が推奨されています。
ただし、ワクチンを打っていても上記の疾患に感染しないのではありません。
ワクチンには「感染した場合も重症化が予防される」という効果があります。
猫ヘルペスウイルスⅠ型や猫カリシウイルスは
子猫のうちに母猫からもらっていることもありますので、
発症させないための環境や免疫づくりが欠かせませんね。
なお猫ヘルペスウイルスⅠ型、猫カリシウイルスに感染しているかどうかは、
猫風邪の治療の際に検査することはあまりありません。
治療はあくまで対症療法が中心です。
もし気になる方はインターネットで簡易検査キットなども販売されていますので、
調べてみても良いかもしれません。
なぜ冬に多くみられるの?

ウイルスはヘルペスウイルス、カリシウイルスに限らず、
基本的に温度や湿度の低い環境下で活動が活発になる傾向があります。
寒さで人もペットも体温が低くなり代謝機能が低下しやすくなりますから、
ウイルスに感染しやすくなるのはもちろん、
暖房の入った温かいおうちでも、エアコンやストーブによって
空中の湿度が低下するのが危険です。
空気の湿度が低下すると、ウイルスの水分が蒸発して軽くなり、
空中をふわふわ漂いやすくなります。
また空気の乾燥で本来潤っているお鼻やのどの粘膜が乾燥しやすくなるので、
ウイルスに感染しやすくなるのです。
お部屋を暖かく保つとともに、
加湿器などで適切に加湿することが大切ですね。
猫ちゃんと人間、互いに伝染する?

猫ちゃんが猫風邪を引いたら、
「私の風邪がうつったのではないか」と心配される飼い主さんもいらっしゃると思いますが、
基本的に猫ちゃんと人間で風邪をうつし合うことはありません。
「コロナウイルス」「ヘルペスウイルス」「エイズウイルス」など、
人と猫(犬)とで共通の名前を持つウイルスが多くありますが、
型が違うのでお互いにうつることはないのです。
ウイルスは生物の細胞の中に入り込み、増殖しますが、
その際に利用する材料がない細胞の中に入っても増殖できません。
猫の細胞の中にある材料を利用して増殖するウイルスが、
人間の細胞に入っても同じ材料がないので増えることができないのです。
ただしウイルスではなく、
細菌や寄生虫が原因の感染症は話が別です。
「人と動物の共通感染症」(ズーノーシス)と呼ばれる感染症もいろいろありますので、
以下のWebサイトを参考にしてくださいね。
環境と免疫で発症を予防!

猫風邪を防ぐためには、ウイルスへの感染を防ぐとともに、
環境づくりや免疫アップで発症を防ぐことです。
①ほかの猫との接触を避ける
猫風邪を引き起こすウイルスは猫同士で感染することが多いので、
他の猫ちゃんとの接触を避けましょう。
多頭飼いの場合、ヘルペスウイルスⅠ型、猫カリシウイルスに感染している子と感染していない子が一緒に生活するとみんな感染しやすくなります。
部屋を分けるなどできればベストですが…。(そうもいかないものですが…)
猫風邪を発症した子がいる場合、症状が回復するまで部屋を分けるなど隔離を行いましょう。
②加温、加湿でウイルスの活動を抑える
以前も書きましたが、猫ちゃんにとって快適な室内温度は20~28℃、湿度は50~60%が理想的です。
対してウイルスの寿命はお部屋の温度・湿度が低いほど長くなります。
湿度が低ければウイルスが乾燥するため軽くなり、飛び散る距離も増します。
冬は暖房で温度を上げると室内が乾燥するので、加湿器を使うなどして、室内の湿度を50%以上に保ち、ウイルスの嫌がる環境をつくりましょう。
③猫ちゃんのストレスを少なくする
すでに猫ヘルペスウイルスⅠ型、猫カリシウイルスに感染している場合、
通常では症状が出なくてもストレスで免疫力が低下した場合に症状が現れやすくなることがあります。
猫ちゃんのストレスを減らし、発症を防いであげましょう。
猫ちゃんにとってストレスとなりやすいのはその子の性格にもよりますが、
一般的に以下のような項目です。
- 来客
- 環境の変化(引っ越しなど)
- 飼い主さんとの関係(分離不安など)
- 騒音
- 同居する動物
- トイレ、食事環境
- 運動できない環境
- 外部からの刺激
④腸内環境を整え免疫をアップする
人間も同じですが、ウイルス感染を防ぐとともに体の免疫力を上げておくことで、
感染した場合も重症化を防ぐことができます。
いつもお伝えしていることですが…
腸内環境を整えることで、
免疫力がアップし、様々な感染症に対して
抵抗力を高めることができます。
腸内には免疫細胞の7割が存在しており、
ワンちゃんネコちゃんも同様です。
腸には善玉菌、悪玉菌、日和見菌(善玉、悪玉どちらでもない菌)
に分類される腸内細菌が存在しており、
その種類は数百種類以上、個数は100兆個にも上ります。
腸内細菌のバランスは、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、
日和見菌が7割という割合が
理想的といわれています。
日和見菌は数が多いわりに、
その名のごとく
腸内の様子を見て、優勢なほうに加勢するので、
善玉菌を優勢にして、
日和見菌に加勢してもらう状態にすることが
免疫細胞の働きを助けるためには非常に重要です!
食物繊維やオリゴ糖は善玉菌の大好物です♪
これを積極的に食生活に取り入れることで、
善玉菌を支援することができるのです。
免疫細胞の働きが活性化すると、
ウイルスや細菌が体内に侵入しても、
抗体が防衛活動を行ってくれるため
被害が軽減されます。
腸内環境を改善し、
免疫力をアップするために、
ヘルシーアニマルズのオススメは
約50 品目の野菜類を自然発酵してつくった
「植物発酵酵素サプリ」です。
液体と粉末がありますが、
粉末にはミネラル分が多く含まれておりますので、
ストロバイト(尿路結石)防止のために
液体タイプをご利用ください。
※例外として、妊娠中などミネラル分をたくさん摂取する必要のある子は
粉末タイプがおすすめです!
継続して摂取していくことで、
腸内フローラの状態を整え、
善玉菌の多いおなかづくりに役立ちます。
抗酸化物質を多く摂取すると、
抗腫瘍・抗炎症効果がありますが、
風邪予防にも効果的です。
免疫力アップにつながります。
「たもぎ茸サプリ」はエルゴチオネインとβグルカンという
強力な抗酸化物質を含み、
猫ちゃんの免疫アップを助けてくれます。
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鮭白子で作った「北海道ピューレ」です。
核酸が多く含まれていて
ペットが食べると元気になると好評の「鮭白子」のピューレに
たもぎ茸と植物発酵酵素が贅沢に配合されています。
いわば「健康贅沢ち〇~る」なのです!
美味しくてすっかり病みつきになってしまうかもしれません😊
猫ちゃんとの楽しい生活のために、
猫風邪はもちろん、
様々な感染症や病気に負けない体を作ってあげたいですね。
それには一朝一夕ではなく、
日々の積み上げが大切なのは、
人間もペットも同じです。
毎日コツコツと取り組んでゆきましょう!
