2024.08.26

【ブログ】どうすれば安心?ペットフードの正しい保存法

湿度が高く、蒸し暑い日が続いているせいか、
お客様から「ペットフードの保存方法」についてご質問をいただく機会が増えました。
基本は「私たちのいただく食事のように気をつけて管理しましょう」ということなのですが、
ペットフードには小さなレトルトパウチのウェットフードがあったり、
10キロ以上の大袋のドライフードがあったり、
本当に多種多様なタイプがありますので、
保存に迷ってしまうこともありますよね。
そこでペットフードの品質管理、保存について
どうするのが正しいのか改めて考えてみましょう。

正しく保存しないと何が問題?

ペットフードの推奨保存方法は、袋に書かれているとおりですが、
もし正しく保存しないとどんな問題が起きるのでしょう?

まず「酸化したり湿ったりして品質が落ちる」ということです。
例えばポテトチップスなどのお菓子でも袋を開けて放置しておくと、
環境条件によってはすぐに湿りますし、時間がたつと酸化した味がして美味しさが損なわれます。
美味しくないだけではなく、酸化した食べ物を食べるのは体にも良くありません。

特に、脂が酸化すると「過酸化脂質」というものに変化し、
たくさん摂取すると腸管組織を傷つけて下痢などを引き起こします。
今健康に良いと話題になっている「不飽和脂肪酸」(EPAやDHA、えごま油など)はとても酸化しやすく、
酸化したものを食べすぎると細胞にダメージがあることもあります。
賞味期限が切れてしばらくたったお菓子とか、
気にしない方は「まだ食べられる」って召し上がる方もいますが、
健康に良くないのでやめた方が良い場合もあります。
ペットフードにも脂質が含まれているので、酸化は品質の大敵です!

また、正しく保存しなければ通常の食品と同様に腐敗のリスクもありますし、
酸化によって品質が劣化する危険性もあります。
最近はペットフードでも保存料無添加のものも増えていますので、
一度開封すると品質劣化が早い傾向にあります。
消費期限内なら大丈夫ということではありません。

実際、どうやって保存してる?


ヘルシーアニマルズのお客様は、ペットの食物について意識の高い方が多いので、
あえて一般のお友達でペットを飼っている方に、
実際にやっているペットフードの保存法について聞いてみました。

すると以下のようなお答えがありましたのでご紹介しますね。
「カリカリは400gぐらいの小袋タイプを買って、開けたら保存容器に移してリビングに置いています。1週間ぐらいで空になります。
缶詰は食べ残したらラップをして冷蔵庫へ。
ちゅーる的なものは1回1本あげると多いのでラップに包んで冷蔵庫に入れて、1日以内に食べ切るようにしています」(猫を飼っている方)


「大型犬なのでドライフードは10kgとかの大袋で買って、プラスチック容器に開けて冷暗所に保存しています。3週間ぐらいでなくなります。
缶詰は2回ぐらいでなくなるのでラップして冷蔵庫へ」(犬を飼っている方)

「虫が心配なのでドライフードは口をクリップで止めて冷蔵庫に入れています」(猫を飼っている方)
「缶詰は100均で売ってる缶詰のふたを使って冷蔵庫に入れています」(犬を飼っている方)
「頭数が多いのでドライフードも大袋で買って、口をクリップで止めてリビングに置いています」(犬を飼っている方)

色々な方がいらっしゃいました。
どれもやったことがあるような気がして、絶対ダメとは思えないのですが、
どのような方法がベストなのでしょう。

品質劣化、4つの大敵

ペットフードの品質劣化で、まず心配なのが「腐敗」です。
腐敗とは細菌など微生物の増殖によって食べ物の成分が変質し、
食べられなくなる状態のことです。

細菌の増殖には「栄養分」「適当な温度」「適当な水分」の3条件が必要です。
ペットフードはどのタイプも栄養たっぷりなのはもちろん、
最も乾燥しているカリカリのドライフードでも10%程度の水分が含まれています。
セミモイストフード、ソフトドライフードでは水分25~35%、
最も水分が多く含まれているウエットフードは水分75%程度ですので
細菌が増殖しやすい食品だといえるでしょう。
ペットフードは袋を開けたら加熱せずにそのまま与えることが多いので、
細菌が増殖すると大変危険です。

また品質の劣化には、細菌による腐敗のほか、
酸化による変質、たんぱく質の変性なども考えられます。

ペットフードの品質を劣化させる要素には、
以下のようなものがあります。

  • 温度
  • 湿度
  • 空気

①温度

ある程度の温度を超えると、細菌の増殖が急に活発になり、腐敗につながります。
細菌の多くは、約20℃で活発に活動しはじめます。
35℃~40℃程度(人間や動物の体温前後)で増殖速度が最も早くなります。

②湿度

多くの細菌(好気性細菌)は湿度の高い環境を好みます。
湿度70%以上で増殖が活発化し、カビの増殖速度も上がります。
ただし黄色ブドウ球菌など、水分活性が低い環境でも活動する細菌もありますので注意が必要です。

③空気

空気に触れることでペットフードに含まれている油分の酸化が起きます。
酸化すると食味も変化しますしお腹を壊してしまうこともあります。

④光

光によってもペットフードは酸化します。
直射日光を避けるのはもちろん、蛍光灯の光でも酸化すると言われています。

冷蔵保存は短期がおすすめ!

温度管理や湿度管理が大切ということはよくわかりましたが、
冷蔵庫に入れて保管するのはありなのでしょうか?

答えは「短期保存にはオススメ(でも長期保存には気をつけてね!)」です。

冷蔵庫の中は場所にもよりますが、
温度は約2~5℃程度、湿度は約60%以上と言われています。
温度帯は申し分ないのですが、湿度がかなり高いので、
ドライフードは長期保存すると湿気てしまうのです。

湿気たドライフードは、
カリカリ感が損なわれて
ワンちゃんネコちゃんにとっても美味しくないですよね。
湿気る過程で冷蔵庫の中の匂いや雑菌も吸収しやすくなりますので、
衛生的に良いものではありません。

また、冷蔵庫に入れても酸化は少しずつ進んでゆきます。
冷凍してもあまり日が経つと表面が酸化したり乾燥して「冷凍焼け」が起きますので
油断せずなるべく早めに食べ切りましょう。

冷蔵庫を利用するなら、一度開封したウェットフードを
食べ切るまでの1~2日冷蔵するとか、
ウェットフードを賞味期限内で冷凍保存するなど
目的、期間を守って使うのがおすすめです。

大袋買いは果たしてお得?

大型犬を飼っていたり、多頭飼いをされているなど
それぞれご事情がおありだと思いますので、
一概にダメとは思いませんが、
ペットフードを大袋で買うのは、
特にこの季節あまりおすすめできません。
できるだけ小さめの袋や小分けパックのフードを購入したほうが
保存を考えると安心安全です。

大袋は基本的に食べ切りに時間がかかるうえ、
かさばるので保存が難しいからです。
もし大袋でフードを購入してしまった場合、
袋のまま室温のリビングに置いておくと劣化が早くなります。
虫さんに狙われる可能性も高くなります(;^ω^)

大袋で購入した場合は、
できるだけ早く真空袋や真空タッパーを利用して小分けにし、
冷暗所に保存しましょう。

確かに大袋のフードは単価でお得な場合もあります。
でも10キロ超のフードを小分けにする手間や、
真空袋を用意する手間、
保存場所などを考えると、
思うより経済的ではないかもしれませんね。
どう考えるかは飼い主さん次第です。

便利グッズを使ってみよう!


先ほど書きましたように空気や光は
ペットフードの酸化を促し、品質を劣化させます。
そこでペットフードを安心安全に保管するためにオススメの便利グッズは、
「真空袋」「真空タッパー」です。


もちろん真空袋(真空タッパー)に入れても、
リビングなど常温の場所に放置してはあまり意味がありません。
真空にした上で冷暗所(場合によっては冷蔵庫・冷凍庫)に保存することで、
一層の効果を発揮します。
私は手作りで与えるごはん以外は、
なるべく小分けのフードやパウチのフードを愛用していますが、
保存が必要なものは真空タッパー×冷蔵庫の合わせ技でガードしています。

真空袋や真空タッパーは、
インターネットで検索すると色々な種類が出てきます。
100均など安価なものから、
それなりにお値段が張る、専用の機械が必要なものもあったりピンキリです。
深夜のTVショッピングなどでも販売していますね(笑)
どれでも問題ありませんが、
保存したいフードや量に合わせて
適した種類、大きさのものを何種類か用意しておくと便利ですよ。

美味しく、安全なものを食べるのは
ペットにとっても健康長寿の基本です。
人間の食べるごはんを大切に保存するように、
飼い主さんが心を込めて選んだペットのごはんも
ていねいに保存してあげたいですね!