2024.08.12

【ブログ】猫ちゃんに多い慢性腎臓病(腎不全)

最近、ワンちゃんの飼い主さん向けの話題が続きましたので、
今回は猫ちゃんの飼い主さん向けのお話をお届けしようと思います。
猫ちゃんを飼っておられるお客様からお伺いする
健康のお悩みで最も多いのが、
「腎臓」に関することです。

猫ちゃんって腎臓が弱いイメージがあります。
人間と違って栄養を管理されたフードを食べているのに、
高齢になると腎臓病になる子が多く、
「慢性腎不全」は猫ちゃんの死因ランキングの上位を占めています。
なぜ、猫ちゃんは腎不全になりやすいのか?
予防する方法はないのか?など調べてゆきましょう。

腎臓ってどんな臓器?


腎臓ってどんな役割を果たしているの?と聞くと
一般人はあまりスラスラと出てこないのですが、
実は様々な働きをしています。

一番有名なのが「血液をろ過して尿をつくる」ということです。
その際に老廃物や毒素をろ過するとともに、
体に必要なもの(ミネラルなど)は再吸収して利用します。
なので腎臓の働きが悪くなると、尿が出なくなり、
血液中に老廃物や毒素が溜まっていきます。

次に、血圧維持にも大切な働きをしています。
塩分と水分の排出量を調節することで血圧を一定に保ってくれたり、
血圧を維持するホルモンも分泌し、血圧が低いときには血圧を上げてくれたり。

また、血液づくりにも重要な役割を果たしているんですよ。
腎臓が分泌するホルモンが、骨髄の中にある細胞を刺激し、赤血球を作るのです。

腎臓さんは大忙し!
尿を作るだけでなく、
血液や血圧について欠かせない役割を果たしているのです。

腎不全とはどのような状態?

よく聞く「腎不全」という言葉ですが、
どのような状態を指すのでしょうか?
「腎臓病」とは何が違うのでしょう?

これは以下のように定義されています。
腎不全:腎臓が何らかのダメージを受けて機能が低下している状態
慢性腎不全(慢性腎臓病):腎不全が長期間続いた状態

腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。
急性の腎不全は何らかの原因で
数時間から数日で突然腎臓の機能が低下します。
例えば猫ちゃんにとっての毒物を摂取した場合などです。

対して慢性腎臓病(慢性腎不全)は
高齢の猫ちゃんにとても多く、緩やかに進行しますので、
猫ちゃんの死因ランキングの上位を占めています。

猫ちゃんが腎不全を起こしやすいのは、
元々砂漠地帯の原産なので、
少ない水分で生きていくことに適応して、
腎臓で濃縮した濃い尿を出すようになっているので
腎臓に元々負担がかかりやすいということもあるそうです。

腎不全の原因は?

腎不全の原因には、以下のようなことが考えられます。

  • 尿管結石による尿路の閉塞
  • 細菌や猫伝染性腹膜炎(FIP)等のウイルスの感染による腎炎
  • 外傷
  • 薬物などによる中毒
  • 心筋症やショックなどによる腎血流量の低下
  • 免疫疾患などによる腎炎

猫ちゃんに多い尿管結石は、
腎不全を引き起こしやすい病気です。
尿管結石は、腎臓で作られた結石が尿とともに尿管を通過する際に、
尿管で滞ってしまった状態です。
尿管が閉塞するので、尿が排出されにくくなり、
腎臓に負担がかかって急性腎不全が引き起こされます。

腎炎は、血液をろ過する糸球体に
様々な原因(細菌やウイルス、免疫疾患など)で炎症が起きた状態です。
その結果血液のろ過が滞り、
細菌やウイルスが腎臓はもちろん、全身に回りやすくなるので、
腎不全やその他の病気の原因となることがあります。

腎不全の初期症状は?

初期にはほとんど症状が見られないので、発見が遅れることが多いです。
進行してくると以下のような症状が見られて、飼い主さんが異常を感じ、
この時点で病院に連れて行って発見されることが多いです。

  • 多飲多尿
  • おしっこの量や回数が増える
  • 尿の色が薄くなる

腎機能が低下してくると尿を濃縮できなくなるため、
薄い尿を大量にするようになります。
その結果水分不足になり、水をたくさん飲むようになるのです。

もう少し症状が進行すると、以下のような症状が現れることが多いです。
こうなるともうかなり進行していることになりますので、
おしっこの異常が見られた段階で病院にかかることがおすすめです。

  • 食欲不振
  • 老廃物を排出できないため口内炎や胃腸炎になる
  • 元気がなくなる
  • 体重の減少
  • 嘔吐
  • 貧血
  • 毛づやが悪くなる

進行するとどうなる?

猫ちゃんの腎臓病は進行状態でステージ分類されています。
定期的な健康診断にかかっていれば、ステージ1(初期)で気づくことができますが、
症状が現れるのはステージ2以降になりますので発見が遅れるということです。

ステージ1(初期):症状はほとんど見られない。尿の異常が見られる程度。
ステージ2(中期):多飲多尿が発生する。元気や食欲はあるが腎機能は著しく低下している。
ステージ3(後期):尿毒症の発症。口内炎や胃腸炎。食欲の低下や嘔吐が見られる。貧血。
ステージ4(末期):尿毒症の進行。通常の生活が送れなくなり、死に至る。

腎臓病のステージや、それに合わせた治療について、
さらに詳しくは「日本獣医腎泌尿器学会」のサイトがとても勉強になりますので、ご覧ください。
犬と猫の慢性腎臓病の治療

腎不全の治療法は?

腎不全で一度侵されてしまった組織が回復することはありません。
一度なってしまえば腎臓を保護し、病気の進行を遅れさせる保護的な治療が主体となります。

例えば点滴や水分摂取を進めることで脱水を予防し、体内の水分量を増やします。
その結果尿を増やし、老廃物の排せつを促します。

また老廃物が溜まると尿毒症になりやすいので、
老廃物の原料となるタンパク質、ナトリウム、リンなどを制限したフードや、
専用の療養食も用意されています。

病院によっては人間同様に腹膜透析や血液透析を行い、
老廃物を排出させることもあります。

予防・早期発見のために!

では具体的にどのようなことに気をつければ、
腎不全のリスクを減らすことができるのでしょう。

①水を多く飲ませる

猫ちゃんの腎不全を予防するには、
日頃からお水を多く飲ませるようにしましょう。
飲水量が少なくなると、尿が濃くなって腎臓に負担がかかります。
いつでも猫ちゃんがキレイなお水を飲める環境を作ってあげてください。
飲水量の目安は1日に体重(kg)×100mlです。
3kgの猫ちゃんであれば最低限1日に300mlは飲んでほしいということです。
毎日の飲水量を管理できるような水飲み場があると良いですね。

トイレも毎日掃除してあげると、
おしっこの色や量の異常にすぐ気がつくことができます。
猫ちゃんトイレの掃除は、猫の健康チェックのためにも必要なのです。

②腎臓に負担をかけないフードを与える

普段あまりお水を飲んでくれない子は、
ウェットタイプのフードを与えるなどして、
食事からも水分を摂ることができるように工夫しましょう。
ナトリウムやリンが少ない、腎臓対策のフードも販売されていますので、
それを利用するのも良いですね。

また、尿管結石ができると腎不全を起こすことがあるということを先ほど書きましたが、
結石を防止し、溶解を促す
「下部尿路維持対策」のフードも販売されています。
具体的にはナトリウムが少なく、尿のpHを安定させる配合です。
猫ちゃんの場合尿のpHが偏ると尿管結石ができやすくなるのです。

いずれにしても、塩分や添加物が多い食事は、腎臓に負担をかけるため、
できるだけ添加物の少ない食事をおすすめします。
猫ちゃんの大好きなおやつでも、ナトリウムが多いものもありますので、
おやつにもご注意くださいね。

③定期的に健康診断を受ける

先述のように、腎不全も初期にはほとんど症状がありません。
症状が現れるのは多くが中期以降です。
腎不全を初期のうちに発見するには、尿検査を行うしかありませんが、
毎年定期的に健康診断を受けていれば、
その際に尿の異常を発見することができます。
健康診断は7歳までは1年に1回、それ以上は半年に1回
必ず受けましょう。

【参考ブログ】ペットの健康管理・後悔する前に今できること!
【参考ブログ】ペットの健康診断はとっても大切!受けさせていますか?

日頃から免疫力を高めておくことも
腎臓病対策には大切ですので、
腎不全についてご相談いただいた皆様には、
たもぎ茸サプリや植物発酵酵素サプリの摂取をおすすめすることが多いです。
いずれも液体タイプを使ってあげると水分補給にもなります。
ぜひお試しください。

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慢性腎不全は、静かに進行してゆき気づきにくい病気です。
しかし進行してから発見されても、傷んだ腎臓は元には戻りません。
悪化すると猫ちゃんにも飼い主さんにも多大な負担がかかりますし、
QOL(生活の質)が著しく低下します。
猫ちゃんの健康長寿のためには、
飼い主さんの責任で、
若いうちから腎臓に負担をかけない生活を心がけてあげましょう!