様々なお客様との出会いの中で、
近頃ご長寿犬(猫)が増えてきたなぁ~と感じることが年々増えています。
人間社会も同様ですが、ペットの世界も高齢化社会となってきたようです。
人間の場合、出生率が下がって子供を持つ方が減っているのが原因ですが、
ペットの場合は新しく飼う方が減っているわけではありません。
生活環境が良くなり、ペットの寿命が全体的に延びているのです。
これは本当にうれしいことです。
それに伴い、今まであまり聞かなかった病がペットにも増えてきました。
その1つが「誤嚥性肺炎」です。
人間では高齢者によく聞く病名ですが、ワンちゃん、特にシニア犬でもお話を聞きます。
肺炎は、場合によっては命に関わる病気です。
それがなぜ誤嚥によって発生するのか、予防する方法はないのかなど気になりますね。
今週は「誤嚥性肺炎」について一緒に学んでいきましょう。
誤嚥性肺炎とは?
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液、吐いてしまったもの(吐しゃ物)が
誤って肺に入ってしまうことで起きる肺炎の総称です。
食道と気道は喉の中で隣り合っています。
通常、呼吸をしているときは食道の入り口は閉じています。
また食べ物を食べているときは弁が閉じて気道に食べ物が進入することを防いでいます。
しかし何らかの原因でこの仕組みがうまく機能せず、
飲み込んだものが誤って気道に入ってしまうことがあります。
通常はもし気道に誤って食べ物が入ってしまっても、咳や嘔吐で吐き出すことができますが、
吐き出すことが出来ない場合は異物が肺まで達してしまうことがあります。
その結果、異物や、異物についている雑菌が原因で肺炎を引き起こすことがあります。
これが誤嚥性肺炎です。
また吐しゃ物を誤って気道に飲み込むことでも誤嚥性肺炎が起きます。
胃酸は強酸性でpH1~2程度と言われています。
吐しゃ物には胃酸が含まれており、それを誤嚥すると気管に胃酸が接触します。
その結果胃酸によって「化学性肺炎」を起こすことがあります。
化学性肺炎とは、気道を経由して吸引した化学物質により起きる肺障害のことです。
誤嚥性肺炎の症状
肺炎とは肺にウイルスや菌、寄生虫などが感染して炎症を起こした状態で、
以下のような症状が現れます。
<誤嚥性肺炎の症状>
せき込む
呼吸がしんどそう
呼吸時に音がする(喘鳴)
呼吸困難
発熱
食欲不振
元気がない
ぐったりしている
など
誤嚥性肺炎になりやすい子は?
誤嚥性肺炎は、嚥下機能が低下(飲み込む力が低下)している老犬や、
嚥下機能が未発達な幼犬が発症しやすいです。
誤嚥してしまったものを吐き戻す力が低いからです。
免疫力も発達途上なので、肺炎に至ってしまうことも多くなります。
また、病気治療中や介護中のシニア犬には気をつけてあげましょう。
お薬を強制的に投与しなければいけない状態の子は、
嚥下力が弱っているので簡単に誤嚥してしまいます。
また、脳神経疾患の後遺症やパーキンソン病などの神経疾患を持っている子や、
巨大食道症(食道が拡張し、食道の運動が低下する病気)、食道憩室(食道の壁の一部が嚢状に外側に突出している状態)の子も食べたものが逆流しやすくなっているので、
誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
お口の中の細菌が肺炎を引き起こす原因であることも多いので、虫歯があったり、お口の中の健康がケアされていない場合も発症しやすくなります。
誤嚥性肺炎を予防するには?
誤嚥性肺炎を予防するには、以下のようなことに気をつけてあげましょう。
①フードの大きさ、硬さに気をつける
フードが大きいと喉詰まりを起こす可能性がありますので、小粒のフードを与えるようにしましょう。
またフードが硬いと嚥下機能が低下している場合、うまく呑み込めないことがありますので、
ぬるま湯でふやかすなどして与えてあげましょう。
粒状のフードだと飲み込めない場合、とろみをつけたり、ペースト状、スープ状のフードを使いましょう。
②口腔ケアを行い口内の雑菌を減らす
口内環境の雑菌を飲み込むと肺炎の原因となることがありますので、
歯みがきなどの口腔ケアを行いましょう。
③食事の回数・姿勢を改善する
自力で食べることができる場合、食事の際に頭を低くしていると飲み込みづらいので、
台を置くなどして姿勢を改善しましょう。
場合によっては立位で食事をさせることも有効です。
食事の回数が少ないとどうしても早食いになるので、食事の回数を増やし小分けにして与えることで早食いによる誤嚥を防いであげましょう。
④食事介助をする場合体位に注意する
食事介助を行う場合、寝たままで食事させると誤嚥が起きやすいので、
上半身を起こして頭を高い位置に保持して食事を与えましょう。
決して急がず、飲み込んだことを確認してから次の1口を与えることも大切です。
水のボトルをゲージなどにつけて給与している場合、
あまり高い位置につけすぎるとお水が器官に入る可能性がありますので、
ボトルの位置には注意してください。
免疫力UPが大切!
誤嚥性肺炎の治療には、肺炎を治療するために主に抗菌剤が用いられます。
食欲や飲水量が減り、脱水症状を起こしている子も多いので、点滴を用いることもあります。
誤嚥性肺炎に限らず、免疫が低下していると、
雑菌やウイルスによる感染に対して弱くなってしまいます。
一見健康そうに見えても、シニア犬になると
だんだん免疫が低下していきます。
免疫が低下するとガンなどの疾患にかかりやすくなるとも言われています。
生活習慣や食生活で免疫力を高めていくことで
健康寿命を少しでも延ばすことができます。
免疫力アップには、ストレスを減らす、睡眠環境の向上、適度な運動など
正しい生活習慣も大切ですし、
腸内環境を整える食生活も大切です。
腸内には免疫細胞の70%が存在していると言われています。
腸内環境を食生活で整えていくことが免疫アップには欠かせません。
日頃の食生活を意識することも大切ですが、
+αとしてサプリメントを活用すると便利ですよ。
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酸化が引き起こす様々なトラブルから体を守ります。
シニア犬や幼犬は免疫がまだ弱いもの。
お腹から免疫力アップを目指し、
命に関わる誤嚥性肺炎を防いであげましょう!