2026.06.25

【ブログ】シニア犬・シニア猫に増えている心筋症。健康診断で見つからないこともある心臓病のお話 

「毎年健康診断を受けていたのに見つからなかった」
実はそんな心臓病のお話を耳にすることがあります。

長寿化が進む今、犬や猫にも増えている『心筋症』。
元気そうに見えていても静かに進行することがあるため、飼い主さんにぜひ知っていただきたい病気のひとつです。

心筋症は、初期にはほとんど症状が出ないことも多く、「昨日まで元気だったのに…」という形で見つかることも少なくありません。

実際に健康診断を受けていたにもかかわらず発見が遅れたり、長年通っている病院でも気づかれなかったというケースもあります。

今回は、犬と猫の心筋症について、

  • 心筋症とはどんな病気なのか
  • なぜ増えているのか
  • なりやすい犬種・猫種
  • 予防はできるのか
  • 見逃しを減らす健康診断の受け方

についてお話していきますね。

心筋症とは?

心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)そのものに異常が起こる病気です。

心臓は全身へ血液を送り出すポンプの役割をしています。

ところが心筋症になると、

  • 心臓の壁が厚くなる
  • 心臓が広がって大きくなる
  • 心筋が硬くなる

などの変化が起こり、ポンプ機能が低下してしまいます。

その結果、

  • 血液をうまく送り出せない
  • 肺に水がたまる
  • 血栓ができる
  • 不整脈が起こる

といった深刻な問題につながります。

犬と猫では心筋症のタイプが違う

猫で多いのは「肥大型心筋症」

猫で最も多い心筋症です。
肥大型心筋症は、心臓の筋肉そのものに異常が起こり、心臓の壁が厚くなる病気です。
筋肉が厚くなるなら心臓が強くなるんじゃないの?と思ってしまいますが、心臓の場合、筋肉に圧迫されて心室が狭くなるので問題が発生します。

遺伝的な要因が関係していると考えられていますが、まだ分かっていない部分も多く残されています。

壁が厚くなり、心室が狭くなって十分な血液を送り出せなくなった結果、

  • 呼吸が速い
  • 元気がない
  • 食欲低下
  • 後ろ足が突然動かなくなる(血栓症)
  • 心不全

などが起こります。

怖いのは、かなり進行するまで症状が出ないことです。
健康そうに見えていても、実は重度の心筋症だったというケースも珍しくありません。


犬で多いのは「拡張型心筋症」

犬では心臓の筋肉が薄くなり、心臓全体が風船のように大きく伸びてしまう「拡張性心筋症」が多く見られます。
猫ちゃんに多い「肥大型心筋症」の真逆ですね。

拡張型心筋症は、心臓の筋肉が弱くなり、心臓全体が大きく広がってしまう病気です。
心臓は本来、ギュッと縮むことで全身に血液を送っています。
しかし心筋が弱くなると十分に収縮できず、血液が心臓内に残ってしまいます。
その結果、心臓は風船のように広がり、さらにポンプ機能が低下するという悪循環に陥ります。 

症状としては、

  • 散歩を嫌がる
  • 疲れやすい
  • 呼吸が荒い
  • 失神

などがあります。

加齢症状と似ているので「年齢のせいかな」と思われやすく、発見が遅れることもあります。

心筋症になりやすい犬種・猫種

特に注意が必要とされる犬種は、

  • ドーベルマン
  • ボクサー
  • グレートデーン
  • アイリッシュ・ウルフハウンド
  • コッカー・スパニエル

などの大型犬です。
大型犬は体が大きい分、一生涯にわたって大量の血液を送り続けます。
つまり心臓への負担も大きいんです。
大型トラックのエンジンが常にフル稼働しているようなイメージですね。
そのため大型犬ほど発症しやすいと考えられています。

もちろん他の犬種でも発症します。
小型犬ですが、キャバリア、チワワも心筋症の発症が比較的多い犬種として知られています。


猫では、

  • メインクーン
  • ラグドール
  • ブリティッシュショートヘア
  • ノルウェージャンフォレストキャット
  • アメリカンショートヘア

などで心筋症の発症が比較的多いことが知られています。

特に

  • メインクーン
  • ラグドール

では肥大型心筋症を起こす原因遺伝子の研究が進んでいます。
10歳を過ぎて発症する子が多いですが、遺伝要因もあるので、若い猫でも発症することがあります。

該当の犬種、猫種と暮らしている方は、特に気をつける必要があると知っておいてください。

心筋症の症状

心筋症の厄介なところは、初期症状がとても分かりにくいことです。
次のような変化が見られたら注意が必要です。

犬の場合

  • 散歩で疲れやすくなった
  • 階段を嫌がる
  • 咳が増えた
  • 呼吸が速い
  • 寝ている時間が増えた
  • 失神した

猫の場合

  • 呼吸が速い
  • 口を開けて呼吸する
  • 遊ばなくなった
  • 食欲低下
  • 隠れていることが増えた
  • 後ろ足を引きずる

特に猫は我慢強いため、症状が出た時にはかなり進行していることもあります。

心筋症は予防できる?

残念ながら「これをすれば絶対に防げる」という方法はありません。
遺伝的な要因が関係しているケースも多いためです。
しかし発症リスクや進行リスクを減らすためにできることはあります!

適正体重を維持する


肥満になると、体のすみずみまで血液を送るために心臓がより多く働かなければなりません。
また、血圧の上昇や呼吸への負担も加わるため、心臓は常に頑張り続ける状態になります。その結果、心臓病のリスクが高まることが知られています。

心筋症の多くは遺伝的要因などが関係すると考えられており、肥満そのものが直接の原因ではありません。
しかし肥満は心臓全体への負担を増やすため、適正体重の維持は心臓の健康を守る上で大切です。
適切な食事管理と運動を心がけましょう。

犬や猫の肥満の定義は「適正体重を犬では15%以上、猫では20%以上超えている、かつ、
体脂肪率が35%以上」
です。

ご家庭で定期的に体重を測ることに加え、健康診断の際には体型評価(BCS)や体脂肪率の測定が可能か動物病院に相談してみましょう。
見た目では分かりにくい体脂肪の増加に気づけることもあり、心臓の健康管理にも役立ちます。

「ちょっと太り気味かな」と思ったら、ヘルシーアニマルズの「植物発酵酵素サプリ(粉末)」や「植物発酵酵素ドリンク」を使った無理のない健康ダイエットを始めましょう。



酵素を使った安全で健康的なダイエットの詳しいやり方は、以下のブログ記事で解説しています!

【ブログ】ペットの肥満が増えています。正しいダイエットで健康に!

【ブログ】ヘルシーに痩せよう!ぽっちゃり犬・ぽっちゃり猫のダイエット。


定期的な運動

無理のない運動は血流維持に役立ちます。
運動させないと肥満などさらなる問題につながります。

ただし既に心臓病がある場合は運動制限が必要なこともあるため、必ず獣医師の指示に従いましょう。


ストレスを減らす

慢性的なストレスは自律神経や循環器系に影響を与える可能性があります。
犬猫が安心できる生活環境を整えてあげましょう。


シニア期の健康診断

最も重要なのはここです。

心筋症は早期発見が非常に大切です。
症状が出る前に見つけられるかどうかで、その後の生活の質が大きく変わります。

しかし、健康診断さえ受けていれば必ず見つかるのか?というと、
必ずしもそうは言えないのが実情です。

健康診断を受けていても見つからないことがある

ここは飼い主さんにぜひ知っておいてほしいポイントです。

実際に私たちは、
「毎年健康診断を受けていたのに見つからなかった」
「レントゲンも撮っていた」
「エコー検査も受けていた」
それでも、心筋症を見つけることができなかったというお話を耳にすることがあります。

もちろん、かかりつけの先生が見落としたという単純な話ではありません。
心筋症は非常に難しい病気です。

病気の初期段階では、

  • 心雑音が出ない
  • レントゲン変化が少ない
  • 一時的には正常に見える

こともあります。

また、

  • 不整脈
  • 心雑音
  • 心臓の微細な構造変化

などは循環器診療を専門的に行っている獣医師のほうが発見しやすいケースもあります。

人間の医療でも
「かかりつけ病院では様子見と言われたけれど、専門病院を受診したら重大な病気だった」という話を聞くことがありますよね。
動物医療でも同じことが起こり得ます。

【超重要!】上手な健康診断の受け方

私たちがおすすめしたい健康診断の受け方は
「かかりつけ病院+専門病院」の組み合わせです。


かかりつけ病院の良いところ

長年診てもらっている病院には大きな強みがあります。

  • 性格を理解している
  • 過去の病歴を把握している
  • 日常の小さな変化に気づきやすい
  • 相談しやすい

これは非常に大きなメリットです。


しかし人間には思い込みがある

どんなに優秀な先生でも人間です。
長年診ていると
「この子は昔からこうだから」
「前回も大丈夫だったから」という無意識の思い込みが入ることがあります。

もちろん悪意ではありません。人間なら誰でも起こり得ることです。


専門病院には専門病院の強みがある

循環器専門病院では、毎日たくさんの心臓病症例を診ています。

そのため、

  • 微細な心雑音
  • 不整脈
  • 心筋の厚みの変化
  • 初期の心機能低下

などを発見できる可能性があります。
また専門的な検査機器が充実している病院も多くあります。


おすすめは「半年ごとのダブルチェック」

シニア期に入ったら、

  • 春:かかりつけ病院
  • 秋:循環器専門病院

というように受診先を分ける方法もおすすめです。

これは人間でいう「セカンドオピニオン」に近い考え方です。
同じ病院にかかり続けることを否定するのではなく、別の視点から確認してもらうためです。

特に

  • 7歳以上
  • 心雑音を指摘されたことがある
  • 犬種・猫種的にリスクが高い
  • 呼吸数が増えている

という子は一度専門病院で相談してみる価値があります。

「犬(猫)地域名 心臓 病院」などのキーワードで検索するとお住まいの地域の専門的病院の情報を得ることができますよ。

おうちでできる心臓チェック

いざというとき、心臓の異常にすぐ気付けるようになるため、日頃から観察しておきたいポイントがあります。

安静時呼吸数

寝ている時の呼吸回数を数えてみましょう。
犬猫ともに目安は1分間20〜30回程度です。
継続的に増えている場合は受診をおすすめします。


疲れやすさ

  • 散歩を嫌がる
  • ジャンプしなくなった
  • 階段を避ける

などは単なる老化ではなく心臓病のサインかもしれません。


咳や呼吸の変化

特に夜間の咳や呼吸の速さは重要なチェックポイントです。
動画を撮影して受診時に見せると診断の助けになります。


心拍数の確認

呼吸数だけでなく、心拍数を確認する習慣も役立ちます。
後ろ足の内側にある大腿動脈や胸に手を当てることで、おおよその心拍数を測ることができます。
心拍数は体の大きさや年齢で違ってくるので、あらかじめその子の安静時の心拍数を測っておくと比較することができます。

ただし、心筋症の初期段階では心拍数に大きな変化が現れないこともあります。
そのため「心拍数だけ」ではなく、呼吸数や食欲、散歩の様子、疲れやすさなどを総合的に観察することが大切です。


まとめ

犬や猫の長寿化に伴い、心筋症はこれからますます身近な病気になっていくと考えられます。

そしてこの病気の怖いところは、
「症状が出る頃には進行していることが多い」という点です。

だからこそ、

  • 日頃から呼吸や行動を観察する
  • シニア期は半年ごとの健康診断を意識する
  • かかりつけ病院だけでなく専門病院も活用する

という考え方が大切になります。

大切な家族だからこそ
「元気そうだから大丈夫」ではなく、
「元気な今だからこそチェックしておこう」
という予防的な視点を持っていただけたらと思います。

心臓は休むことなく一生働き続ける臓器です。
愛犬・愛猫がこれからも穏やかに毎日を過ごせるように、ぜひ定期的な心臓チェックを習慣にしてあげてくださいね。