以前のことですが、
うちの猫ちゃんが朝、フードを食べた後に
そのままあちこちに吐いていることがありました。
カーペットの上やおふとんの上にも吐くので、
掃除も大変でしたがそれより体調が心配で心配で。
気になって病院に行ったところ、
食べすぎや早食いによる「吐き戻し」ということでした。
食欲旺盛すぎる子なので平和なオチで良かったです。
この場合結局異常ではありませんでしたが、
ワンちゃんネコちゃんがしょっちゅう吐いてしまう場合、
飼い主さんは心配ですよね。
そこで今回は
ワンちゃんネコちゃんが吐いてしまうとき、
体の中でいったい何が起きているのかを知り、
原因と対策を考えてゆきましょう。

「嘔吐」と「吐出」

ワンちゃんやネコちゃんが吐いている状態は、
どれも一見同じように思えますが、
メカニズムや吐いているものによって
「嘔吐(おうと)」と「吐出(としゅつ)」に分類されます。
どちらにしても気になるのですが、
消化中のものを出すのは「嘔吐」
未消化のたべもの(食べたばかりのものも含む)を出すのは「吐出」
と覚えておきましょう。
人間の場合で考えるとわかりやすいです。
酔っ払って具合が悪くなって吐くのはほぼ「嘔吐」で
喉にお餅が詰まって吐きだすのは「吐出」です。
うちの猫ちゃんの場合は
あわてて食べた結果フードをそのまま吐いていたので
「吐出」でした。
嘔吐(おうと) | 吐出(としゅつ) | |
メカニズム | ・脳にある嘔吐中枢がなんらかの原因で刺激された結果、主に胃の内容物を吐く | ・食べたものが胃に到達する前に食道から逆流し吐き出される ・その原因は主に神経系や筋肉などの異常、また食道に腫瘍や異物があったりなどのトラブル |
吐き出すもの | 胃や十二指腸の内容物 (消化が始まっている状態) | 未消化の食物 |
吐き方 | 横隔膜がふるえ、オエッオエッと吐き気を催す様子があった後、下向きに吐き出す | 前に飛ばすような吐き方が特徴 |
原因として考えられるもの | 胃腸の病気、腎臓・肝臓の病気、アレルギー、ストレス、異物誤飲、食中毒、寄生虫など | 早食い、過食、消化不良、食道拡張、重症筋無力症、若齢の心臓の血管の奇形など |
吐いた物の内容と色を見よう

ワンちゃんやネコちゃんが吐いた場合、
吐いたもの(吐しゃ物)を観察することによって病状や体調を推測することができます。
吐いたもの | 緊急性について |
食べたものをそのまま | 早食いや過食が原因であることが多く、基本的に緊急性は低い |
異物が混じっている | 毛玉の場合は問題ない(猫が毛づくろいして毛玉を吐くのは正常) 誤食や疾患が原因のことが多いので病院での診察が必要 |
吐いたものに食べ物以外のものが混じっている場合は要注意です。
また、吐いたものの色によっても原因を推測することができます。
吐いたものの色 | 色の原因 | 考えられる原因 |
白色の泡・透明 | 胃液が含まれる | 空腹やストレス 消化管閉塞や内臓疾患など |
赤色やピンク色 | 出血が含まれる | 臓器からの出血 |
赤黒い | 出血が含まれる | がんや消化管内腫瘍の破裂など(危険) |
茶色 | 出血が含まれる | 胃や腸などの消化管から出血、もしくは炎症 |
黄色 | 胆汁が含まれる | 空腹が続きすぎて胆汁が逆流 肝炎や腎臓病 |
吐くのが一時的なら様子を見てもかまいませんが、
2~3日続けて吐いている場合や、
吐いたものに赤やピンク、茶色などの色が含まれる場合、出血している可能性もありますので、
すぐに病院に連れて行ってあげましょう。
どんな時に吐く?原因は?
ワンちゃんやネコちゃんが吐く場合、どのようなタイミングで吐くかによって
原因を推測することができます。
吐くタイミング | 考えられる原因 |
食べてすぐ | 早食い、食べすぎ |
食後早い時間 | 食道や胃 |
食後数時間以上 | 腸などの消化器官 |
考えられる原因の例を詳しく見てみましょう。
吐く原因 | 備考 |
早食い、食べすぎ | あわてて食べたり、食べすぎることで食道にエサが滞留したり、水分を含んで食道を刺激したりすることで吐き戻しにつながることがある |
ストレス | ストレスが多いと免疫の働きが弱まり細菌やウイルスに対する抵抗力が低下する |
長すぎる空腹時間 | 胃酸が出すぎて嘔吐することがある |
毛づくろい | 毛づくろいで飲み込んだ毛が原因で嘔吐が生じる(毛球症) 換毛期に起きやすい。猫ちゃんに多いがワンちゃんも起こすことがある |
食道炎 | 食道が炎症を起こした結果吐きやすくなる |
感染性腸疾患 | 細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が感染することによって、嘔吐や下痢などの消化器症状を起こす |
炎症性腸疾患 | 原因不明の炎症により、慢性的な嘔吐や下痢などの消化器症状を起こします。 腸粘膜が異常な免疫反応を起こす |
腫瘍 | 腺癌、リンパ腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、炎症性ポリープなど |
異物誤飲 | 異物を飲み込んでしまったことにより、胃が刺激を受けたり消化管が通過障害を起こしたりして嘔吐が生じる |
腸閉塞 | 排せつされるはずの毒素が体内にたまり、嘔吐が引き起こされることがある |
膵炎 | 消化を助ける酵素を分泌する膵臓に炎症が起きると消化不良となり嘔吐が引き起こされることがある |
熱中症 | 多臓器不全が起きる結果嘔吐することがある |
中毒 | 自然毒、薬品、細菌の毒素などの影響により急性中毒や慢性中毒を起こした結果 |
こんなときはすぐに病院へ!

ワンちゃんネコちゃんが吐いた場合、
吐いたものを片付ける前に、以下の点を観察しましょう。
- 吐いたものに異物が混ざっていないか?
- 出血を含むような色ではないか?
- 吐くのは一時的か?2~3日続いていないか?
- 元気はあるか?ぐったりしていないか?
早食いや大食いによって一時的に食べ物を戻しただけで、
すぐに元気や食欲が回復するようなら、
そのまま様子を見ても問題はないでしょう。
しかし吐いたものに異物が混ざっていたり、
出血が含まれているような色だったり、
ペットの元気が消失していたり、
吐く状態が2~3日続いているという場合は、
すぐに病院に連れて行ってあげましょう。
これはNG!
食べ物を吐いたからといってすぐにお水や食べ物を与えるのはNGです。
あわてて食べて再び吐く可能性があります。
落ち着いてから与えましょう。
また素人判断で人間の胃腸薬を与えるのは止めましょう。
ペットに好ましくない成分が含まれている可能性があります。
吐くことを防ぐには?

病気が原因ではなくても、日常的に吐いている状態は
ワンちゃんネコちゃんの体に負担がかかります。
飼い主さんが見ていないときに吐いている場合、
吐いたもので窒息するなど事故が起きる可能性もあります。
できるだけ防止するために、生活面で気をつけたいことをまとめました!
食事の水分量に注意する
フードの水分量が少ないと、胃の中で水分を激しく吸収して膨らみ、
吐き戻しの原因となることがあります。
ドライフードに含まれる水分は約10%、
セミドライフードは25%~35%程度、ウエットフードは75%前後と言われています。
吐き戻しの多い子はドライフードだけではなく、
予め水分が多く含まれているセミドライタイプや、
ウエットフードも食事に取り入れてあげましょう。
フードは一度にたくさん与えない
早食い、大食いの傾向がある子は要注意です。
フードを一度に早食いしたり、
一気に必要以上の量を大量に食べた場合、
食道に詰まって吐き戻すことがあります。
戻したもので窒息するなどの危険も考えられます。
大量に置きエサをすることは止めましょう。
代わりに、フードを少しずつ決まった時間に給餌するオートフィーダーを利用するなど
一気食いできない環境を作ってあげましょう。
食事時間は一定にする
食事の間隔が空きすぎるとと胃酸が過多になり、
食べたときに吐き戻してしまうことがあります。
食事の時間は日ごろからできるだけ一定にし、
あまり間隔を空けすぎないようにしましょう。
1回当たりの量が少なければ、1日3食にこだわる必要はありません。
腸内環境を整える
腸内環境を整えると免疫力が高まるので、
細菌やウイルスが引き起こす
胃腸炎や食道炎、感染性腸疾患などに対して
抵抗する力が付きます。
いつも書いていますが、免疫細胞の約7割は腸内に存在します!
腸内の環境を整え善玉菌が増えやすい環境を作ってあげることで、
免疫細胞の働きが良くなります。
腸内環境を整える具体的なコツは、
善玉菌の好むエサを多く摂取し、悪玉菌の好むエサを摂りすぎないということです。
善玉菌の好むエサ→食物繊維、オリゴ糖など
悪玉菌の好むエサ→タンパク質、脂質、砂糖など
液体タイプと粉末タイプがありますので、
即効を求める場合や病中病後、シニアの栄養補給には液体、
日頃の健康づくりには粉末と使い分けてくださいね。
(※猫ちゃんは液体をご利用ください)
「吐く」という行動も、
そのとき、体にとって必要があるから起きる
ワンちゃんネコちゃんの体からのメッセージです。
軽視せずに食事や生活環境、
健康の改善につなげてあげましょう!
