最近ヘルシーアニマルズでは、
ワンちゃんの下痢についてご相談を頂く機会が増えています。
この季節特に、下痢を繰り返す子が多くなっているようです。
寒くなってきて体が冷える季節になってきましたが、
寒さが原因の場合だけではなく、
下痢が様々な病気の症状として現れている場合もありますので、
注意が必要です。
そこで今日は「ワンちゃんの下痢」と
その原因、対策について考えてゆきましょう!
下痢さん発生のメカニズム
(注:お食事中の方はごめんなさい!
よろしければ後ほどゆっくりお読みください)
身近すぎる「下痢」ですが、
どのような状態が「下痢」と定義されているのでしょう。
また、何故発生するのでしょう。
下痢とは、大便中の水分が異常に増えた状態です。
液状またはそれに近い状態が「下痢便」
通常より少しやわらかい状態を「軟便」と呼んでいます。
それ以上やわらかくなると「泥状便」
ほとんど水のような状態だと「水様便」と呼びます。
名称と水分量の定義は以下のようになっています。
便の名称 | 水分量 |
健康な便(通常便) | 60~70% |
軟便~泥状便 | 80~90% |
水様便 | 90%以上 |
下痢便や軟便を繰り返し、腹部不快感や腹痛を伴う状態を
「下痢もしくは下痢症」といいます。
便の回数が増え、一般的に1日3回以上と言われています。
2週間以内に治る下痢は「急性下痢」
4週間以上続く下痢を「慢性下痢」といいます。
何回もよくなったり悪くなったりして
だらだら続く下痢も「慢性下痢」です。
下痢の原因には腸の「ぜん道運動」が
深く関係しています。
うんちがどうやってできるか、仕組みを覚えていますか?
食べ物を食べると、胃や十二指腸で消化され、
まず小腸に入ります。
小腸ではそこからさらに栄養分を吸収し、
大腸に送られます。
大腸では小腸から送られた液状のものから
水分やミネラルなどを吸収して固形の便にして、
「ぜん道運動」という筋肉の動きで、
肛門に運びます。
便が腸内を通過するときに、
含まれる水分が体内に吸収され、
ちょうど良い水分量になるのですが、
例えばぜん動運動が異常に活発になったときや、
水分量の調整機能に障害がおきたとき、
便の水分が増えすぎて
「軟便」「下痢便」「水様便」になってしまうのです。
ぜん道運動が激しくなりすぎると、
腸を通過するスピードが速すぎて、
便中の水分が十分に吸収されないため、下痢が発生します。
また、何らかの理由で
腸からの水分や腸液の分泌が多すぎる場合も、
便の水分が吸収されず、下痢が発生します。
私たちも何らかの経験がありますよね…
まとめると、
何らかの理由で腸内での「便の水分調整」が
うまくいかない場合、
下痢が発生するということです。
急性下痢の原因は?
ワンちゃんの急性下痢の原因は、
大まかに「感染性」と「非感染性」に
分けることができます。
①感染性の場合
ウイルス性腸炎
犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルス、
犬コロナウイルス、犬ヘルペスウイルス、犬アデノウイルス1型、
ロタウイルスなどが主な原因ウイルスです。
嘔吐、腹痛を伴うことが多いです。
主に、空気感染や
すでに感染しているワンちゃんとの接触で感染します。
細菌性腸炎
クロストリジウムやカンピロバクター、サルモネラ、大腸菌などが
主な病原菌です。
発熱や腹痛があり、粘液便や血便を伴うこともあります。
飲み物や食物、食器が原因菌に汚染されていることで感染します。
②非感染性の場合
飲食物
- 食べすぎ
- 急激に食べ物が変わった、食べ慣れないものを食べた
- 過剰な水分摂取、劣化した食事や品質の悪い食事を摂取した
- 食物アレルギー、食物不耐性など
- 誤飲・誤食
ストレス
引っ越し、来客、騒音、ペットホテルなど
慢性下痢の原因は?
慢性的に下痢が続く場合、
原因は病気や薬剤・食事であることが多いです。
炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)
人間の場合、IBDとは潰瘍性大腸炎やクローン病を指しますが、
ワンちゃんの場合、はっきりとした定義はなく、
原因不明の慢性腸炎を総称しています。
免疫の異常が関わっていると考えられています。
特定できる他の疾患がなく、
かつ顕微鏡で、腸の粘膜の組織に白血球など(炎症細胞)が
集まっている像がみられることを特徴としています。
<その他、慢性下痢・嘔吐の原因として考えられる病気>
腸管運動停滞
腸閉塞
食道疾患
アジソン病(副腎皮質機能低下症)
膵外分泌不全:膵臓で消化酵素が作られ十二指腸へと分泌される機能が正常に行えない状態
膵炎:膵臓自身を消化してしまう病気
腸リンパ管拡張症
腫瘍
リンパ腫
腺癌
薬剤、食事によるもの
食事反応性腸症
食物アレルギー(消化管型)
食物不耐性
抗菌薬反応性腸症
その他の原因
消化管内寄生虫(犬回虫、コクシジウム、ジアルジア、クリプトスポリジウムなど)
異物
すぐに病院に行くべき?
下痢が慢性化している場合は、
何らかの病気や薬、アレルギーが原因であることが多いため、
すぐに病院に連れてゆきましょう。
急性下痢の場合、
様子を見ようとなることも多いと思いますが、
ワンちゃんの体力や年齢を考慮してあげましょう。
免疫が完成していない子犬や、
体力が低下しているシニア犬、病中病後の子は、
下痢の原因として他の病気が潜んでいた場合、
そのままにしておくと重篤化するかもしれません。
特に下痢のほか、以下のような症状も出ている場合は、
即、病院に連れてゆきましょう。
- 食欲不振
- 腹痛
- 脱水症状
- 発熱
健康で体力のある成犬で、
下痢以外に症状がなく、
2~3日様子を見て収まったようなら
様子を見ても大丈夫だと思われますが、
下痢を止めるために
下痢止めのお薬を使いすぎると、
下痢症状が収まることで、
原因となっている細菌感染などを見落とすことがありますので、
繰り返す場合は病院に連れて行くことをおすすめします。
腸内環境で下痢を防ぐ!
ずっとお伝えしていることですが…
腸内環境を整えることで、
免疫力がアップし、様々な感染症に対して
抵抗力を高めることができます。
腸内には免疫細胞の7割が存在しており、
ワンちゃんネコちゃんも同様です。
腸には善玉菌、悪玉菌、日和見菌(善玉、悪玉どちらでもない菌)
に分類される腸内細菌が存在しており、
その種類は数百種類以上、個数は100兆個にも上ります。
腸内細菌のバランスは、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、
日和見菌が7割という割合が
理想的といわれています。
日和見菌は数が多いわりに、
その名のごとく
腸内の様子を見て、優勢なほうに加勢するので、
善玉菌を優勢にして、
日和見菌に加勢してもらう状態にすることが
免疫細胞の働きを助けるためには非常に重要です!
食物繊維やオリゴ糖は善玉菌の大好物です♪
これを積極的に食生活に取り入れることで、
善玉菌を支援することができるのです。
免疫細胞の働きが活性化すると、
ウイルスや細菌が体内に侵入しても、
抗体が防衛活動を行ってくれるため
被害が軽減されます。
感染性の下痢には特に有効です。
腸内環境を改善し、
免疫力をアップするために、
ヘルシーアニマルズのオススメは
約50 品目の野菜類を自然発酵してつくった
「植物発酵酵素サプリ」です。
酵素サプリは、
野菜や果物の栄養素を
発酵期間に酵素が長い時間をかけて分解、
吸収しやすい形にしてくれた産生物ですので、
体力のない子の栄養補給や
シニア犬の健康維持にもおすすめです。
下痢が続いて食欲が失われているときの、
栄養補給には最適です。
その場合は吸収しやすい液体タイプを選択してくださいね。
初めて摂取すると、
一時的におなかがゆるくなることがありますが、
腸内環境が整うにつれて、
量、質ともに快便生活が期待できます。
今の時代、室内で暮らす子がほとんどですから、
下痢が発生するとお家の衛生状態にもかかわります。
愛犬との快適な暮らしのためにも、
下痢にならない生活を心がけたいものです。
日頃から腸内細菌を増やす「腸活」に取り組んで、
免疫力をアップし、厄介な下痢を撃退しましょう!