2026.08.16

【ブログ】獣医さんに聞いてみた!愛犬の涙やけに手作りホウ酸水って大丈夫なの?


今日もヘルシーアニマルズのブログをご覧いただき、ありがとうございます!

さて、ワンちゃんのお顔を見たとき、目の下が赤茶色に変わっていると気になりますよね。

「毎日拭いているのに、なかなかきれいにならない」
「病院へ行くほどではないように見えるけれど、何かしてあげたい」

そんなとき、インターネットで涙やけについて検索すると、さまざまなケア方法が出てきます。その中でよく見かけるのが、「ホウ酸水を手作りして目元を拭くと、涙やけが改善した」という口コミです。

以前、ヘルシーアニマルズのブログでも、手作りホウ酸水による涙やけケアはあまりおすすめできないとお伝えしました。

以前の記事はこちらです☟
【ブログ】愛犬の涙やけケア。ネットにあふれる口コミ情報、トライしても大丈夫?

すると、その記事へ「ホウ酸水 涙やけ」という言葉で検索して来てくださる方が増えてきました。
それだけ多くの飼い主さんが「本当に使って大丈夫なの?」
「ホウ酸水は危険なの?」と迷っているのだと思います。
もうこれは、専門家に根掘り葉掘り聞いてみたほうが良いですね。
そこで今回は、ロックなチワワのまさるくんが、獣医師の玉井聡先生に直接インタビュー!
手作りホウ酸水は涙やけに効果があるのか、どんな危険性があるのか、家庭ではどのようにケアすればよいのか、詳しく伺いました。

※この記事は、獣医師への取材回答をもとに構成しています。

「ホウ酸水で涙やけが治った」という口コミ、本当?

まさるくん「玉井先生!ネットで『ホウ酸水を手作りして目元を拭いたら、涙やけがきれいになった』という口コミを見つけたんだ。ぼくにも使って大丈夫?」

玉井先生「これは飼い主さんから実際によく聞かれる質問です。結論から言うと、涙やけの改善を目的に、ご家庭でホウ酸水を作って使用することはおすすめしません」

まさるくん「やっぱり危険なの?ホウ酸団子にも使われているし、猛毒ということ?」

玉井先生「いいえ。ホウ酸が危険だから何に使っても絶対にダメ、という単純な話ではありません。大切なのは、ホウ酸だけを怖がることではなく、なぜ涙やけが起きているのかを考えることです」

いきなり「ホウ酸は毒だからダメ!」と結論づけるのではなく、まずはホウ酸の性質と、涙やけができる理由を分けて考える必要があるようです。

ホウ酸そのものは「悪者」ではない

玉井先生によると、ホウ酸には軽い防腐作用、弱い抗菌作用、液体の性質を安定させる緩衝作用があります。昔から人の医療でも、ホウ酸洗眼液やホウ酸を含む点眼薬が使われてきました。

しかし、適切に調製・管理されたホウ酸製剤と、家庭で自己流に作るホウ酸水は同じではありません。

現在の人の医療では、目の洗浄やケアに生理食塩水や人工涙液などが広く使われるようになり、ホウ酸洗眼は以前ほど推奨されなくなっています。

まさるくん「動物病院で使うことがあるなら、おうちで作っても同じじゃない?」

玉井先生「動物病院では、濃度や衛生状態が管理されたものを、診察した上で必要に応じて使用します。ご家庭で作ったものを、原因が分からないまま使うのとは条件が違います」

ホウ酸そのものを全面的に否定する必要はありません。しかし、「医療現場で適切に使われることがある」ことと、「家庭で気軽に手作りしてよい」ことは別の話なのです。

ホウ酸水は本当に涙やけに効くの?

まさるくん「でも、実際に『きれいになった』という人がいるんだ。やっぱり効果があるんじゃないのかな?」

玉井先生「犬や猫の涙やけに対して、ホウ酸が有効であることを示した質の高い研究は、私が知る限りありません。科学的根拠は非常に乏しいと考えています」

ネット上の体験談が、うそだという意味ではありません。
ホウ酸水で毎日目元を拭くことで、被毛に付いた涙が取り除かれ、湿った部分が清潔に保たれた結果、細菌や酵母が増えにくくなった可能性はあります。

つまり、改善したように見えた理由は、ホウ酸そのものではなく「こまめに涙を拭き取ったこと」かもしれません。
また、たまたま症状が軽く、自然に改善する時期と重なった可能性もあります。

「うちの子には効いた」という経験はその子にとって大切なものですが、すべてのワンちゃんに同じ効果と安全性が保証されるわけではありません。

涙やけは病名ではなく、何かが起きた「結果」

涙やけとは、目からあふれた涙が被毛に長く付着し、赤茶色に変色した状態です。
涙などに含まれるポルフィリンという色素成分や、湿った被毛で増えやすくなる細菌・酵母などが関係すると考えられています。

ここで忘れてはいけないのが、涙やけ自体は病名ではなく、涙が増えたり正常に流れなくなったりした「結果」だということです。

玉井先生によると、涙やけの背景には次のような原因が隠れていることがあります。

  • 涙の通り道である鼻涙管の閉塞や異常
  • 涙が多く出る流涙症
  • 逆さまつげなどの睫毛異常
  • まぶたが内側に入り込む眼瞼内反
  • 結膜炎
  • 角膜への刺激や傷
  • アレルギー
  • 歯科疾患

ホウ酸水で目元を拭き、一時的に被毛がきれいになっても、こうした原因が治るわけではありません。

まさるくん「涙やけだけを消そうとしていたら、本当の原因を見逃すかもしれないんだね」

玉井先生「そのとおりです。見た目をきれいにするケアと、涙が増えている原因を調べることは分けて考えましょう」

家庭でホウ酸水を作る4つの問題点

玉井先生が特に心配しているのは、ホウ酸そのもののイメージよりも、家庭で作って使用する過程にあります。

①濃度を正確に管理するのが難しい

目の表面を覆う角膜や結膜は、とてもデリケートです。ホウ酸水の濃度が高すぎたり、十分に溶けていなかったりすると、角膜や結膜を刺激する可能性があります。

ネット上には作り方も掲載されていますが、計量器具や水の量、溶かし方などが違えば、同じ濃度になるとは限りません。
この記事でも、手作りを勧めることにつながらないよう具体的な作り方や濃度は紹介しません。

②作った液体を衛生的に保つのが難しい

自宅で作った液体は、見た目がきれいでも無菌ではありません。使用する水や容器、手指などから細菌や真菌が入り、保存している間に繁殖する可能性があります。

汚染された液体を目元に使えば、清潔にするつもりが、かえって目の周りへ菌を運んでしまうことも考えられます。
特に目の近くへ使うものは、「作った直後はきれいだったはず」という感覚だけでは安全を判断できません。

③舐めて口に入る可能性がある

ワンちゃんやネコちゃんは、濡れた顔を前足でこすったり、その足を舐めたりします。目元に使用したものが、少量ずつでも口に入る可能性を考えなければなりません。

ホウ酸は、犬や猫が飲むことを前提にしたものではありません。体の小さな子犬や子猫では、特に慎重に考える必要があります。

④本当の目の病気を見逃す可能性がある

「いつもの涙やけ」と思って自宅ケアを続けていたら、実は角膜潰瘍や目に入った異物、ドライアイなどが隠れていたということもあります。

目の病気には、早く治療を始めたほうがよいものがあります。自己流のケアで様子を見るうちに、受診が遅れてしまうことこそ大きな問題です。

獣医師の診察を受けずに使ってよいワンちゃんはいる?

まさるくん「じゃあ、どんなワンちゃんなら手作りホウ酸水を使ってもいいの?」

玉井先生「基本的に、ご家庭で積極的におすすめできる子はいません。もしホウ酸を含むものを使うとしても、獣医師が診察し、目の病気や鼻涙管の問題がないことを確認した上で、短期間、補助的に使用する程度でしょう」

特に次のような様子があるときは、ホウ酸水を試すのではなく、早めに動物病院を受診してください。

  • 目を痛がる、前足で頻繁にこする
  • 目を細める、開けられない
  • 目が白く濁って見える
  • 緑色や黄色の目やにが増えた
  • 急に涙の量が増えた
  • 片方の目だけ症状が強い
  • 角膜潰瘍やドライアイが疑われる
  • 目の手術を受けたばかり
  • 子犬や子猫である

特にネコちゃんの目の症状は慎重な判断が必要です。
もちろん犬猫ともに、普段と違う目の様子が見られたら自己判断でケア用品を追加せず、獣医師に相談しましょう。

家庭でできる安全な涙やけケア

目の病気がないことを確認できた上で、家庭で行う涙やけケアの基本はとてもシンプルです。

玉井先生が勧めるのは、次の3つです。

  1. ぬるま湯
  2. 滅菌された生理食塩水
  3. 獣医師が勧める眼周囲用クリーナー

清潔なコットンやガーゼを湿らせ、目の中をこするのではなく、涙で濡れた目の周りの被毛をやさしく拭きます。固まった目やにを無理にはがしたり、ゴシゴシこすったりしないようにしましょう。

左右の目に同じ面を使い回さず、汚れたら新しいコットンへ交換します。
使用後は水分を残さず、乾いたコットンやガーゼでそっと押さえます。

玉井先生が「意外に重要」と教えてくださったのが、目元の毛を乾いた状態に保つことです。

涙で濡れた状態が続くと、被毛の変色が進みやすくなるだけでなく、目の周りの皮ふが蒸れてトラブルにつながることがあります。
「特別なものを塗る」前に、出てきた涙をこまめに拭き、清潔で乾いた状態を保つことがケアの基本なのです。

毎日の目元ケアに「スキンプロテクトスプレー」

ヘルシーアニマルズでは、涙やけが気になるワンちゃん、ネコちゃんの目元の被毛ケアに「スキンプロテクトスプレー」をおすすめしています。

防虫防臭効果が研究発表されている北海道産アカエゾマツ精油を配合し、毎日の皮ふ・被毛を健やかに保つために開発された犬猫用スキンケアスプレーです。もちろん目元だけではなく全身に使うことができます。

涙やけに使うときは、目元へ直接スプレーしません。
清潔なコットンへスプレーを含ませ、目の中に入らないよう注意しながら、涙やけが気になる部分へやさしくなじませてください。

ここでも大切なのは、スプレーで病気を治そうとしないことです。
涙が増えた原因を確認し、必要な治療を受けながら、目の周りを清潔に保つための毎日のケアとして取り入れましょう。

目を痛がる、開けにくそうにする、濁りや色のついた目やにがある場合には、スキンケアよりも受診を優先してください。

まさるくん「目の中を治療するものじゃなくて、目の周りの皮ふと被毛を清潔に保つために使うんだね!」

玉井先生「そうですね。正しい使い方を守り、毎日のやさしいケアに役立ててください」

まとめ|ホウ酸を怖がるより、涙やけの原因を調べよう

今回、玉井聡先生に手作りホウ酸水について伺い、最も大切だと分かったのは、「ホウ酸は危険物だからすべてダメ」と怖がることではありませんでした。

ホウ酸は、適切に調製・管理された製剤として医療で使われてきた成分です。
しかし、犬猫の涙やけを改善する十分な科学的根拠は乏しく、家庭で作る場合には、濃度、衛生面、誤飲、病気の見逃しといった問題があります。
そのため、涙やけの改善を目的に手作りホウ酸水を使用することはおすすめできません。

涙やけは、涙が増えたことや正常に流れなくなったことによって起こる「結果」です。まずは目や鼻涙管などに異常がないかを確認し、その子に合った治療やケアを選びましょう。

そして家庭では、涙をやさしく拭き取り、目元を清潔で乾いた状態に保つこと。特別なものを自己流で作るよりも、こうした地道なケアのほうが、安全に続けられます。

まさるくん「先生ありがとう!ネットの口コミを試す前に、まず原因を調べる!ぼくの大切な目だから、安全第一でいくぜ!」

ちょこん猫「毎日のお手入れも、ゴシゴシせずにやさしくね」

かわいいお顔と大切な目を守るために、迷ったときはかかりつけの獣医師へ相談し、安心できる方法を選んであげてくださいね。

取材協力:獣医師 玉井聡先生